2016/03/15

第15回 坂本朱さん

         

今回は、オペラ歌手でいらっしゃる坂本朱さまにお話をお伺いさせていただきました。 美しい声の表現を通して、聴く方の魂に響く歌を歌いたいとおっしゃる坂本さま。 チベットの心の知恵との出会いや、アイテムのご活用方法、また西洋音楽の「声」とチベットの「声」の共通する世界といった、興味深いお話をお聞かせいただきました 。

オペラ歌手 坂本朱さん

オペラ歌手 坂本朱さん

東京芸術大学卒業。同大学院オペラ科修士課程修了。芸大大学院在学中、関西日伊コンクール入選、第6回新人音楽コンクール(飯塚)にて大賞及び文部大臣奨励賞受賞。1989年イタリア政府給費留学生としてジュゼッペ・ヴェルディ国立音楽院に学ぶ。91年トーティ・ダル・モンテ国際コンクール及びベッリーニ国際音楽コンクール優勝。ローマのオペラ座でも公演を行なうなど、イタリアや日本など、国を超えてさまざまな舞台で活躍。日本を代表するメゾ・ソプラノ歌手。

お香を炊けば、「普通でいられる」という感覚

・アマナマナはどのようにお知りになられたのですか?

お香を探していてインターネットの検索でアマナマナさんのHPを見つけたのがきっかけです。僧侶たちが厳選したヒマラヤハーブの薬草だけで作られたお香と説明があり、すぐに購入させていただきました。

ベーシックなお香が3種類ありますが、その中でもナーガ香が好きで、継続して購入させていただくようになりました。このお香は本当にたくさん使わせていただいてますね。なんだか「普通でいられる」という表現が合うように感じます。お香に振り回されるような香りではなく、自然にその場の空気を正してくれるような、穏やかな香りのような気がするんです。

・坂本さまは日本とイタリアで生活をされていらっしゃいますが、どのようなときにナーガ香を焚いてくださっているんでしょうか?

ナーガ香は、日本の住まいで過ごす朝の時間にとても必要なお香です。朝起きて、全部の窓を開けて、風が通っているときに、ナーガ香を焚きます。そしてお湯を沸かします。そのときに、部屋全体にナーガ香の煙がうごめきだすのです。母のお仏壇にお茶を供えて、一緒に私もお茶をいただく時間に、ナーガ香の香りをゆっくり堪能する、これが私の日本での過ごし方です。お香が漂っていると本当に心地よいんです。

また夜も、焚きたいときはずっと焚いていますね。それくらい、とても自然で自分を心地よい状態に保つサポートをしてくれているように感じます。

・ナーガ香はヒマラヤハーブが30種類も使われていて、浄化にとても良いとされる素晴らしいお香なんです。坂本さまはオペラ歌手でいらっしゃりますので、日々「喉のケア」はとても大切です。ナーガ香の煙は喉へのストレスなどなかったでしょうか?

そうなんです、そこがとても大事なポイントなのですが、このお香は喉へのストレスはまったくありません。世の中にたくさんお香はありますが、煙が喉に負担になるものが大変多いんですね。なるべく喉に負担のかけない、お気に入りのお香を探すのに苦労していました。

お香は購入前に焚いて試すということもできませんし、お店に行っても、火を点ける前のお香の香りは確認できますが、実際の煙はわかりませんので、結局当たり外れは火を点けてからわかります。喉にストレスを感じるお香が多い中、アマナマナさんのお香はストレスがなくて本当にありがたいです。

・本当に気に入っていただけて嬉しいです。イタリアでもお香を焚かれるのですか?

イタリアでは、なかなか主人が煙が苦手なので焚く機会がないんです。

実際は自分の中で、環境と気候が変わると、お香を必要とする感覚が変わる感じがします。イタリアの家は、郊外にあり、家の前一面、大きな公園のような庭のおかげで、大きく育った樹木の芳しい香りが漂い、とても自然が満ちている環境なのですね。けれど、日本の都会での生活に戻ると、自然がほとんどない。日本の家の閉じられた空間の中に、自然の力を満たしたいような気持ちで焚いているんです。自分の住んでいる空間は天国のような場所にすることができますので、少しでも自然のエッセンスを取り入れたいイメージでお香を焚いている気がします。この湿度のある、日本の風土に、とてもお香が合うような気がします。本当に不思議な感覚です。

日本にはイタリアと日本を年に5回ほど往復しますので、半年くらいは日本に滞在していることになるでしょうか。だからこそ、イタリアと日本の風土の違いを感じます。日本に滞在する間は、コーヒーも飲みますが、それよりも日本茶やお抹茶を飲みながら、その中でお香をともに焚くことで日本での生活が豊かになるよう取り組んでいます。

高層の声は私にとっても憧れ

・坂本さまにはお香だけでなく、The Blessing Voiceのコンプリートセットもお求めいただいています。チベット僧のお経を唱える声は、坂本さまにとってどのような響きをお感じになりましたか?

ずっと聴いています。本当にあのお経の声が素晴らしいんですね。先日、他のお坊様の声明のCDを購入したのですが、響きが違うんですね。どうなんだろう、ちょっと違うような感じがして。圧倒的にThe Blessing Voiceの中のお坊さまや尼僧さまの声が本当に素晴らしいので、とても好きです。

・どんなときに、The Blessing Voiceを聴いてくださるんですか?

どんなときに、The Blessing Voiceを聴いてくださるんですか?

もう本当に、日本の自宅で朝から晩まで聴いています。私は歌を歌っていますので、音、声に対して敏感に反応するところがあります。音を聴くと言うことは、聴覚だけでなく、身体が感じる感覚、声帯が一緒に動く感覚があります。耳から入る音に影響されて振動をしているんですね。そこで波長が合えば気持ちよくいられるし、嫌な音だと疲れる、身体に嫌な感覚が残るんです。聴覚から入って身体が反応しているんです。The Blessing Voiceのお坊さまたちの声は自然なんですよ。本当に、いい声なんですね。

「こういう声で話せたらいいな」「こういうふうに声が出せたらいいな」という憧れの声であり、響きをもつ声なんです。

・プロの坂本さまにそう言っていただけると、とても違う味わい方ができて光栄です。シリーズは1.2.3と3枚ありますが、お好きなものはありますか?

今、よく聴いているのはThe Blessing Voice2ですね。1も聴きますが、最近リサイタルがあった秋に、ずっと聴いていたのは2ですね。そのときどきで聴きたくなるシリーズが変わるのですが、この秋は2でした。不思議ですね。

・The Blessing Voice2は、【外側との調和】がテーマなので、お客さまとの調和を広げるリサイタルにはぴったりのテーマですね。

本当にそうなんです。自分がいまこの場所にいて、お坊さまがいらっしゃる遠い場所から聴こえてくるような、擬似体験ができる感覚になります。

日本に帰ってきて、テレビをつけることがありますが、テレビから流れ出る「声」がとても気になります。聞こえてくる声が美しいとは思えないし、叫んでいるような声が多いように感じるんです。笑い声もそうですね。聴いているととても疲れます。

The Blessing Voiceは、そういったものとは対照的な響きを持つ声なんです。瞑想や修行を通して自分自身を高めた結果の声だと感じますので、とても深い響きをかんじます。本当に勉強になるんですよ。CDを聴いていると、とても学びになるんです。触発される響きで、本当に大好きです。

・ありがとうございます。坂本さまはお香とVoice以外にもたくさんのアイテムをお求めいただいてくださっています。特にお気に入りやこだわりのものがほかにありますか?

西チベットと四面マンダラのポスターは、和室に飾っています。

西チベットと四面マンダラのポスターは、和室に飾っています。その前に座って瞑想するつもりなのですが、なかなか取り組めなくて(笑)。

シンギングボールCD「光の響き」も、本当に夜にたくさん流しています。間接照明だけの部屋で、シンギングボウルのゴォォ・・という深い音色に包まれています。このCDは、聴く人がそのとき思い描いている心の対象や、状態によって、さまざまな雰囲気で聴くことができるのでは、と感じています

ティンシャは、先日のリサイタルの楽屋にも持っていき、鳴らしました。その日の無事と私自身の内部への浄化を願って。CDの録音をしたときには、会場で何度も鳴らしました。 ティンシャを奏でて集中していると、音楽スタッフたちが興味津々でそっとしてくれなくて(笑)。 自分の呼吸が整っていなくて、乱れているときは、どうしても鳴っている音の波が乱れるんです。そんなときは、「あ、ダメだ」と思って、発声したり歌ったりして、呼吸を整えてから鳴らすと、美しい音色に変化します。ティンシャは普段、ピアノの上に大切に保管しています。本当に欠かせないですね。旅のときは、ホテルの中でも静かに鳴らします。

・アマナマナのワークショップの中では、シンギングボールワークショップとテルマタイムにご参加いただきました。心に残ったことなどはありますか?

シンギングボールワークショップとテルマタイムにご参加いただきました。

テルマタイムはとても面白かったです。私が申し込んだときは、いつももう一人偶然に申込まれた方がいらっしゃって、一期一会のご縁で一緒にお話を聞けて楽しかったです。私は私なりの事柄でぽろっと話して、居合わせた方もその方の出来事から、その場に共通のお話が自然とわきあがって。なんだか至福のひとときでした。

テルマタイムでThe Blessing Cardを引かせていただくのですが、「そろそろ許してあげなさい」というようなメッセージで、自分では意外だったり。しかし「大切な何か」を気づかせてくださるのです。直接的なメッセージというよりも、もっと優しくて客観的な言葉の問いかけのカードですね。本当に目の前に先生がいて、「はい、今日はあなた、こうしたらどう?」というようなカードをくれるので、とても好きです。このカードは、お家で音楽を聴きながら、一枚一枚、本を読むように読み物として読んでいくのもいいですね。

最後の最後まで、歌っていられる自分でいたい

・そうですね、読み物としてメッセージを味わっていただくのも素敵ですね。坂本さまは、今はとてもチベットの文化に想いを寄せてくださっているそうですね。

チベット仏教やポン教に出会いこうして興味を持ったのも、なんだか出会うべくして出会ったんだなぁと最近感じているんです。

以前からヨガや、マクロビオティック、インドの哲学、それぞれ個別に興味をもっていたんです。けれど興味のある世界がひとつのところへ集まってくるように、とうとうポン教に興味を持つようになりました。そこからマントラや言葉の響き、チャクラに関連する話などに触れるようになり、とても世界が広がりました。

今まで自分がやってきた、ピアノの前で発声練習という方法より、チベットのお坊さまが行うような、低く自分の身体に響かせるよう母音を唱えているほうが、声が出てくることに気づきました。 それからは、自分の歌を歌うという修養のために、お坊さまの声に合わせて一緒に母音を唱えるようになりました。ヨガの呼吸法も教わりましたら、従来の私のメソッドと重なる部分もたくさんあるのですが、体系づけや方法論は異なっていたと、理解しました。 チベットの知恵は、本来「人」というものが、自然や宇宙と共存する存在だ、という感覚を高めていってくれるでしょう。

歌とは、まさに本来そういうものなんです。だけど、現代はとても四角四面の音楽カリキュラムや教育方針などが出来上がってしまいました。

3歳からバイオリンを習わせなければ遅いとか、変声期をおえてから、ゆっくり声楽を始めましょう、など、形ばかりの情報が溢れました。

どういうメソッドに出会うかは、実は運命です。我々が作りすぎてしまったことを反省することも必要です。知らぬ間に入り口と出口が異なってしまうこともあるからです。 ハッとしたのです。チベットでお経を読んでいる方たちが、うんといい声を出しているじゃないかって。いつか将来、そういう道筋を作っていけたらいいなぁと思っています。

・坂本さまが歌を始められるきっかけはどのようなものでしたか?

坂本さまが歌を始められるきっかけはどのようなものでしたか?

小さいときから歌は好きだったんですね。歌というよりも音楽そのものが。5~6歳のときに、付録で付いていたレコードをかけて、一人で汗をかきながら踊っていて、楽しかったのを覚えています。幼稚園に派遣されて来ていたピアノの若い女性の先生と、年長組の女の子が、帰るバスには乗らないで残ってお稽古しているのに憧れて、私も6歳からピアノを始めました。歌は、9歳のときに地元の少年少女合唱団の入団テストの申込書を自分で書き、試験を受けに行きました。

その合唱団は、卒団の17歳まで在籍して歌っていましたね。そして本格的に声楽の勉強を始めたのは、高校2年からです。小学生のとき、ピアノの先生からも、音大付属の中学校に行く?と尋ねられたりもしましたが、私はスルーしてゆるゆると楽しんでいたんです。

合唱団では練習が大変だったこと、合宿が面白かったこと、年に1回の定期演奏会に向けて厳しい練習を重ねて、拍手をいただき、子供ながらに感動したこと、アンコールをみんなで泣きながら歌ったこと、そういうたくさんの感動を、私は歌を歌いながらいただいてきたんですね。それが今の私の存在に繋がっています。

・今後の夢やビジョンをお聞かせください。

声は、一瞬一瞬に変化しています。形を伴わない儚いものです。80歳の声で、リビングで歌っているなんて、なんと素敵でしょう。しかし舞台上で歌うことの責任を考えると、ある日、決断の日もやってくるでしょう。私は、私の人生、最後の最後まで、歌いたいと思います。人は死ぬ時、最後に大きく息を吸うと言われていますね。その息を吸う前に、吐いた息があるでしょう。最後の吐く息がある限り、私はずっと歌い続けていたいと思うんです。この声帯が振動し、声が出せる限り、吐く息がある限り、私は歌い続けていく、というのが私のビジョンです。

そして、「わたしの歌」というものを、心から歌っていきたいと思っています。私の声で、私の歌を歌っていきたい。これから先、歌える場では、「坂本朱の歌」というものを探求して、歌っていきたい。そして舞台に立つ人間の責任として、今いるところをひとつ越えて、「伝わる歌」を歌いたいんです。私が歌う歌が、聴いてくださるみなさんにとって、水のごとく、風のような空気のような、そんな存在になっていればいいなと願っております。

◆インタビューを終えて

ヨーロッパに強い寒波が訪れ、雪で埋もれたパリから到着された坂本さま。インタビュー前には「武満徹生誕80年メモリアルコンサート」にて、その豊饒な歌声をお聞かせ下さいました。「声」に真摯に向きあわれ、チベットのお坊さまが築き上げてこられたマントラの響きに辿りつかれたお話は、とても心打たれました。インタビューの最後に、「歌うことは祈りです」と微笑まれた坂本さま。美しい歌声がこれからも多くの方の心に響きますように。本当にありがとうございました!

By アマナマナ・スタッフ

【ご案内】

◆2010年10月に発売となった坂本朱さんの歌声が堪能できる1枚
「Liberte(リベルテ)武満徹SONGSの自由なる世界」

●坂本朱さんご愛用のアイテム

The Blessing Incense(基本3種)The Blessing Voice コンプリートセットシンギングボールCD「光の響き」ティンシャヒーリングマンダラ各種ワークショップ