2016/03/15

第10回 精神科医 井上和俊さん

         

今回は、徳島県の医療法人睦み会・城西病院の理事長・院長である精神科医の井上和俊さんにお話をお伺いしました。井上さまは、アルコール依存の方のために「卒酒会」というプログラムを組まれ、その中でアマナマナの製品を活用していただいているとのこと。井上さんが目指される「心のケア」のお話を伺いました。

精神科医 井上和俊さん

医療法人睦み会城西病院理事長・院長。精神保健指定医/精神保健判定医/日本精神神経学会精神科専門医/徳島県精神科病院協会会長。穏やかな笑顔と包み込むような声で、「心と身体の癒し」と「人生を豊かに生きる」ための診療に日々取り組んでいる。現在はアルコール依存の方のためのプログラム「卒酒会」において様々なアプローチを取り入れたケアにも力を注いでいる。

「いかに生きるか」なくして、本当の治療はありません

・井上さまは精神科のお医者様でいらっしゃいますが、「卒酒会」というプログラムを行っていらっしゃるとのこと。「卒酒会」とはどのようなものなのでしょうか?

インタビュー

精神科医として精神障害の方の治療にあたっているのですが、7年ほど前からアルコール依存症の人たちのプログラムを作りまして、その取り組みのひとつに「卒酒会」があります。医師だけでなく、看護師さんや心理士さん、精神保健福祉士さん、作業療法士さんなど、多職種の者が集まり一緒に一緒に取り組んでいます。

最初は認知行動療法と言われる、お酒に対するものの見方や考え方を変えようというものを始めたんです。神奈川県の久里浜アルコール症センターというアルコール依存専門病院があるので、そちらのプログラムを学びに全ての職種の者が研修に行きました。

けれど、やっぱり1番大事なのは「生き方」といいますか。「どのようにして生きるか」ということなくしては本当の治療はあり得ないし、アルコール摂取は習慣ですから、習慣を変えるには、そういうことに触れざるを得ない。そうしているうちに、最初のうちはみんなで般若心経を読んでみたりだとか、いろんなことをやったんですね。

結局アルコールに依存しているわけですから、それを断ち切りたい。けれどアルコールはいくら毒だからと分かっていても、その習慣が動かないわけですよね。そうすると、その習慣に代わる何らかのものがないといけない。

そこで、私が作ったプログラムに「卒酒会」という名前をつけたんです。「断酒会」という名前だと「酒を断たなければいけない」というイメージが強くて、どこか自分たちが悪いというイメージが浮かびやすい。お酒というのは誰でも依存の可能性があるんですよ、という意味合いで「卒酒会」というネーミングにしました。

卒酒会のプログラムは3ヶ月・12回のシリーズということで組み立てました。その中で「生き方」「原則」「宇宙の法則」といったテーマを通して、自分を見つめていくんです。
私自身、もっと学びを深められないか、いろんなアプローチはないかと模索している中で、アンソニー・ロビンズ氏というコーチングの世界ではNO.1という有名な方のセミナーを2年続けて夫婦で受講しました。そのアンソニーさんのメソッドの中に、「Blessing」という瞑想があったんです。その「Blessing」という言葉が何なのかを調べているうちに、アマナマナのHPに辿りついた、という訳です。

・「Blessing」というキーワードでアマナマナを見つけてくださったのですね。卒酒会にて、アマナマナ製品をご活用いただいていると伺いました。どのようにお使いでしょうか?

まずはThe Blessing Cardを購入しました。最初は家族で使ってみたんです。「わぁ、すごい!」と家族みんなで言いあってカードを引いていました。何度か使っているうちに、「あぁこれは卒酒会に使ってみたらいいんじゃないか」と思いつき、今では毎回必ず、The Blessing Cardを引くことから始まるようになりました。

インタビュー

具体的に言いますと、毎週、卒酒会の会の始まりに、The Blessing Cardを1枚引くんです。そして、画用紙ほどの紙の真ん中にテーマを書き、そこから放射状に枝葉を伸ばして、その日のThe Blessing Cardの言葉を書き留めます。書き留めた言葉から、自分で浮かんだ言葉を、また枝葉を伸ばすように紐づけて書いていくんです。いわゆるマインドマップを作っていくんです。

紙の上には、合計12回のセッションで引いたThe Blessing Cardの言葉が12個記され、それぞれの言葉から放射状に分かれて、イメージされた言葉が広がっている状態です。
この取り組みを、卒酒会の会ごとに全員にしてもらうんです。患者さんだけでなく、私もやりますし、スタッフも全員でやる。みんながカードを引いて、マインドマップのようにカラフルに書きくわえていくんですね。書いてもらったら、一人ずつ発表してもらって、それをみんなで聴きます。
何度も参加されていらっしゃる方は、カードの内容も覚えていらっしゃいますから、「あぁ、また出たか」というような感想もあります(笑)だけど、そのときそのとき、反応する言葉が違ってくるんです。響く単語というか、言葉が違う。それが面白いですね。

誰もが持っている「無意識」に届く言葉だから、響く

・The Blessing Cardのメッセージをマインドマップ風に書きとめていらっしゃるんですね。12回のプログラムを終えたときに、ひとつの形となるのですね。

そうなんです。このThe Blessing Cardの言葉は、どんな人にも響く言葉が書かれていますよね。おそらく誰もが持っている無意識の大事なところに響く言葉であるから、どんな人にでも聞けるし、受けとめられる。アルコール依存症の人でも、そうではない人でも、みんなに共通して心に響く言葉がある。だから、卒酒会の始まりに、このThe Blessing Cardを引いてもらうことで、自分自身の偏見を断ち切ってもらうような気持ちでいます。「みんな同じ人間なんですよ」というメッセージを、このThe Blessing Cardを通して分かち合っているように感じています。これは本当に好評なプログラムなんですよ。

・すごく素敵に活用くださって本当にありがとうございます。他のアイテムも卒酒会でどのように使われていらっしゃるのでしょう?

インタビュー

The Blessing Cardを最初に引いてもらったあと、私たちが作ったプログラムをみなさんと勉強するんですね。そして最後に、ブレッシングミストをシュッシュとまいて、いい匂いを吸って、ティンシャとシンギングボールを叩いてから、みんなで瞑想を始めます。私がシンギングボールを鳴らして、その日皆さんがお話になったことで心に触れたことなどを、私が即興で語りかけていきます。「今日は誰々さんがこういうことを言ってくれましたが・・」というふうに、そのとき思いついたことを、シンギングボールを響かせながら、静かに話していきます。皆さんには目をつむってもらって、瞑想してもらうんですね。
最後にポーンとシンギングボールを叩くと、ティンシャを担当するスタッフが静かにチーンと鳴らして、ゆっくりと瞑想を終えるんですね。気持ちを静め、その日の学びを深く味わう時間です。ティンシャを鳴らしたら、またミストをシュッシュとまいて瞑想を終えるんです。

・ありがとごとうございます、瞑想のときにシンギングボールやティンシャ、ミストをご活用くださっているんですね。

インタビュー

瞑想のやり方もいろいろと試しています。先日は僕は何も言わずに、皆さんで静かに瞑想してもらったり。色々と試行錯誤をしています。

瞑想で静かにその日学んだことを味わったら、最後に「動」の動きでインカンテーションというものを行うんです。アファメーション(自分に対して語りかける肯定的な宣言の言葉)をもう一つ力強くしたようなものなんですね。身体と言葉を大きく使って、みんなで大きな声で宣言するんです。たとえば、「私は健康な身体!」と私が大きな声で言いますと、皆さんも一緒に「私は健康な身体!」と続いて言うんですね。エイエイオー、みたいにして自分たちに宣言するんです。もっと文章にしたものもありまして、たとえば僕が作った宣言は、「自分の無知で過去は飲酒を続けたが!」「オー!」「酒のトリックを知ったからにはもう一滴も飲まないで卒酒する!」というふうに、みんなでオー!と声を出して、互いにエールを送りあうような形で言うんですね。それぞれ各自で作った宣言、自分たちにあった宣言を、病棟で入院している患者さんたちが作ったりして、それを宣言してもらったりして、最後は元気づけて終わります。そういう一つのシリーズになっています。

・瞑想の後に、自分たちを元気づけて宣言するんですね。いろいろとアマナマナの製品が大活躍ですね、本当にありがとうございます。

The Blessing Cardに直接書き込んだりする人もいて大変なんです(笑)。本当は紙に書いてもらわないといけないのに、うっかりカードに間違って書いたりする人もいますね(笑)。最初のオープニングにカードを使い、最後の瞑想にミストやティンシャ、シンギングボールを奏でる。最後は元気に、明るく楽しくなるように心がけています。一般的に断酒会、となりますと、どうしても暗い話ばかり出てきてしまって、みんな聞くのが嫌になってしまうことがありますので。身体も動かしたり、楽しくしたりするのを心がけています。僕自身が楽しくなければ、みんな楽しくないでしょうから。だから毎回追加資料なんかがあって、色々勉強もしますので、一般の診療より僕はこの卒酒会が楽しいんですね(笑)最近はホ・オポノポノなんかも取り入れたりしています。いいと思ったことは、垣根を越えてどんどん取り入れてやっています。

「病は気から」が、実は予防医学の先端

・井上さまは、どのようなきっかけで精神科医になられたのですか?

インタビュー

父親が医者ではなかったんですが、いろんないきさつで精神科の病院を経営することになりまして。父親からは「好きなようにせぇ」とは言われていたんですが、それが1番のきっかけでしょうね。精神科は医学の中では最後に置かれているようなところが今まではあったんですね。けれども最近は流れも変わってきていて、やはり「病は気から」ということもありますので、ある意味、予防医学の王道をいくところはあるのかな、と感じています。病気にならないためにはどういう気持ちを持ったらよいか、といったようなことが1番大事だと思いますし、そういう意味では精神科医をしていてよかったな、と思っています。

中学か高校のころに、アメリカの医療ドラマで「ベン・ケーシー」というのが流行っていまして。脳外科医の話だったんですけれど、昔はあぁいう医者に憧れていたりしましたね。というのはやっぱり、スパっと治して、要らないとことは取り除いて、「はい、治りましたよ!」っていうのに憧れたんですね。なので今も、精神科医としてできるだけ早く治したい、という思いがあるんですね。「早く」というのは実際には無理なんですが、根本から治したい、という想いがあります。そして「治るんだ」という思いがあるんです。

もともと精神分析をやっていたんですが、あまり過去をほじくり返すのはよくないな、と途中で方向転換して、コーチングの勉強したりしていたんです。そこから瞑想だったり、先日はホ・オポノポノの講習会に行ってきたり(笑)。いいなと思うものは、自分なりにとりいれているんです。みんな、どこかの部分で繋がっているように感じています。

・今後も、卒酒会ですとか、色々な形で皆さまのサポートをなさる訳ですが、今後の活動の夢はありますか?

夢は、ベン・ケーシーのような精神科医になることと、どこかに癒しランドを作ることなんです(笑)。昨年度、病院の50周年慰安旅行でハワイに行ってきましてね。そのときに癒しランドはハワイに決まり!というような話になりました(笑)。本当に夢のような話ですが、そんな夢に向かって進んでいきたいと思っています。

インタビュー

その一環として、具体的に行ったのは、3年前に病院とは別に心療内科のクリニック(城西ビオスクリニック)を始めたんです。徳島駅から近いところですが、そのクリニックの2階に、食からの健康ということでマクロビオティク・レストラン『ビオス』を作りましてね。そのレストランは患者さんだけでなく、一般の方も誰でも来ていただけるマクロビのレストランなんです。まぁ、日中だけですし、日曜祭日、木曜日お休みなんで採算が合わないんですが(笑)。マクロビオティックはうちの家内や娘が取り組んでいまして、僕も好きなので。そういう意味で、一歩ずつ、癒しランドに繋がる一つの形を進めています。

 

◆インタビューを終えて

すらりとしたロマンスグレーで、優しい笑顔の井上さま。
いつも徳島よりアマナマナでお買い物くださり、今回シンギングボールワークショップにご参加のためギャラリーにご来廊。その機会にインタビューさせていただきました。
卒酒会の貴重なプログラム資料を見せてくださり、圧巻だったのはマインドマップとして描かれたThe Blessing Cardの言葉たち。こんなふうに書き残すことで、自分自身に向き合えるのだと教えていただきました。患者さまが快癒され、楽しく日々を過ごされることを心から願い、そのために柔軟に良いと思われるものを取り入れていらっしゃる井上さま。「癒しランド」のお話はキラキラとされていらっしゃいました。本当にありがとうございました。

By アマナマナ・スタッフ

【ご案内】

城西病院
 「心と身体を癒し続け 人生をより豊かなものとし 今を共に語り合い支え合って生きる」を理念とする井上さまの病院です。
卒酒会プログラム(城西病院ブログ内)
 ブログ内の<アルコールプログラム>または<卒酒会>の中で、卒集会の取り組みや皆様のご様子を朗らかに紹介しておられます。
城西ビオスクリニック
 徳島駅前にある心療内科クリニック。2階には一般の方も気軽に立ち寄れるマクロビオティック・レストラン「ビオス」が併設。肉魚介類、乳製品、卵、精白された砂糖、化学合成された調味料等を使用せずに作られるランチやスィーツが好評です。

●井上和俊さんご愛用のアイテム・ご参加のワークショップ他

The Blessing Cardシンギングボールティンシャシンギングボール・ワークショップ

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